単価の向上

 

農業を魅力ある産業にする方策として、一定の収入が得られるものであることは欠かせない条件だ。そのために最低限必要なことは、単価の向上である。面白いことに、このご時世でも、若い世代に人気があるものとして、なによりも「安全」であり「新鮮」であり、「健康に役立つ」農野菜が挙げられます。

 

地域の特性を生かし、地産地消のメリットを活用すること、ブランド化すること、新しい特産物を開発し、普及させること、さらには、少量多品目栽培の技術を磨くこと、栽培講習会などのイベントを活発に行うこと、直売所、加工所などの整備をすることなどが挙げられます。これらによって、単価の向上は実現するのです。

 

生産から流通における省力化とコスト削減のためには、あらゆる面における合理化を行い、農業の構造改革がなされねばなりません。農薬や化学肥料の利用をできるだけ抑えると、安全であるだけではなく、環境負荷を低減することもできます。さらに、単価の向上のためにも酪農との連携、すなわち耕畜連携を行うことで、農業に由来する有機物の再利用が可能になるのです。

 

ちなみに、埼玉県所沢市では江戸時代から始まった循環型農業の継続のために、ボランティアによる落ち葉掃きが個人農家において実施されます。1週間はかかる16ヘクタールの立林での落ち葉掃きが、ほぼ1日で終わると喜ばれる姿はうれしいものです。単価向上につながるかどうかは別ですが、牛フンと枯れ葉とのコラボレーションもまたありがたいものです。

直販の取り組み

 

地元野菜の直販市と言えば、目にする限り、ちょっと覗いてみたくなるのが、地元の人たちの心情です。私の市では、月に一度程度、地元農協の店先に、取り立て野菜の販売会が行われていますが、車で立ち寄るお客様で、2時間もすると、すべてが売られてしまうほど。

 

さて、その時のお客様の思いは何でしょう?もちろん、新鮮野菜の魅力と価格の低さ、そして、なによりも、地元野菜への安心感だと思います。あるいは特筆できるのが市役所ロビーで行われる「地元野菜の直販」。この直販の取り組みは市役所に用事でお越しの市民たちが市役所の中で、安全で低価格の農産物をその場で購入できることから、その人気は高いです。あるいは、もちろん、市内のフェスティバルなどでも、農協主催で多くの地元野菜が展示販売されています。

 

直販の取り組みの始まりは、農協職員の女性たちだったと言われています。女性は何といって台所を預かることが多いのだから、大きな期待を地元野菜に寄せるものです。そこで、地元野菜の生産者は、もっと自分が丹精込めた農野菜を自信持って直販されることを、私は一人の消費者としてぜひともお願いしたいと思うのです。

 

今の時代、運送料という無駄なエネルギーをつかわないためにも、地元野菜の普及は、誰にでも必要なことだからです。生産者がお客さまに感謝して直販をしなければという考え方もありますが、感謝したいのは、地元の消費者ではないでしょうか。

農作物価格の低迷の理由・改善点

 

輸入農産物が増加したために、現在、国内農産物価格の低迷は余儀なくされています。飼料を輸入に頼っていることも、農産物価格の低迷を招いているでしょう。これらに対して、東京都では平成13年より次のような都市型農業の農産物価格の改善点を上げて、実施しています。つまり、地元に根差す農産物の活性化です。

 

農産物価格の低迷だけではなく、食料自給率の低下、担い手の減少、高齢化など、多くの問題を抱えているのが日本の農業ですが、現在東京の各地域では、農産物価格の低迷を改善するために、直売所や体験農場の解説、地域内リサイクルにより生ごみや剪定後の樹木の堆肥化などを取り上げています。

 

この「新しい農業の芽生え」が、農産物価格の低迷の改善につながると考えていますし、有機栽培の需要も定着したのが現代です。ですから、健康志向の強い現代は、価格だけが問題ではないと言う意識を生産者が持つことも大事ではないでしょうか。少しぐらい価格が上がっても、海外の少々不安な農産物より喜ばれるのは、今、意外と強いのです。

 

有機栽培などへの理解が深まった現在は、農産物価格の低迷を改善するためには、品質の良さに注目すべきです。農業従事者と行政が協力しあうことが必要です。たとえば、東京都の農業が魅力ある、元気な産業に戻るために、積極的な行政の働きを期待したいものですが、と同時に、市民が地元の農産物に理解を示し、地産地消を促すことも大事です。


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